2025年桜の開花は、西日本と東日本ではおおむね平年並み、北日本は平年並みか早いようです。 この季節の桜香るデザートのバリエーションが格段に多くなっていませんか、目も舌も癒され満足感で満たされます。 我が家も毎年近くの学校の桜の花びらが飛んで窓ガラスにつくのが、静かな穏やかなノックのようで、春の訪れを感じるひと時である。
第16代 佐野藤右衛門氏は日本の造園家で「桜守」として知られる。昭和3年生まれですから御年97歳である。字のごとく、桜を守るお仕事です。 ソメイヨシノは人の手によって生まれたもので弱く、寿命も50~60年とされる。昔の日本人の寿命くらいですね。しかも現代の異常気象や街路樹は根の部分がアスファルトに固められており、お花見で心無い人が枝を折ったり、根を踏みつけたり。まさに踏んだり蹴ったりである。桜にとってはとても良い環境とは言い難い。 そのはかない一生を、開花の短い時間を子守のようにお守りする、ドクターであり、乳母でもある「桜守」。剪定や施肥、植栽、診断、情報発信と手間暇のかかる職人さんがいるからこそ、こうして現在の桜を愛でることができるありがたさ。桜も受粉し子孫を残すために厳しい長い冬を乗り越え、わずかな刻を精一杯の花を咲かせる。
「願わくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ」西行が詠んだ。桜の花が咲いているもとで春に死にたいものだ。それも、(釈迦が入滅したとされている)陰暦の二月十五日の満月の頃に。生涯で作った約2090の和歌のうち、実に230首で桜を詠んでいる。はかない桜の花をこよなく愛し、輪廻転生を悟りながらも、極楽浄土で桜に囲まれていることを願ったのだろうか。 地球温暖化で、私たちはいつまで桜を見ることができるのだろう。いつまでも続くように、環境に配慮した行動ができるよう心掛け、桜をお守りしていきたい。