用語 物理学で使われる用語「レジリエンス」。回復力、復元力と訳され、心理学では折れない心、立ち直りとして学ばれている。これが住宅業界では、防災力とされ、3省連携支援事業(国交省、環境省、経産省)として補助金政策もあり、現在奨められている。
本音 広範囲に甚大な影響の出る、首都直下型地震、南海トラフ地震に備えて避難所や非常時物資の備蓄には限界がある。避難所は面積に限りがある。昼間の在宅者、旅行者すべてに対応はできないので避難所によっては受け入れることができない。となると優先順位の高い人達から使用していただくことになるが、その運用は誰がどのようにするのか?強制力があるわけではない。
携帯電話やスマホの充電の行列、トイレの行列に並ぶが間に合わないケースや配給の行列ではイライラが募る。段ボール1枚向こうには見ず知らずの方ではプライバシーは守れない。平常時では我慢できる些細なことが住民同士の衝突につながりかねない。家に残されたペットや空けてきた家の防犯も心配だ。
さらには、感染症に罹患、ストレスなどで災害関連死の可能性も高まる。夏場は熱中症、冬場はインフルエンザ、衛生状況によりO157、ノロウィルス、結膜炎、不充分な口腔ケアによる肺炎など。高齢者や乳幼児、妊婦など体力のない方、免疫力の低下している方は特に注意が必要だ。
建築基準法改正により耐震性の高い住宅の割合が多くなり、倒壊や家具転倒で亡くなる圧死は減少している。災害関連死にならないように、避難所生活ではなく、住み慣れた我が家での在宅避難の考え方が広がってきた。食料、水の備蓄、停電時に電気が使用できる太陽光発電、蓄電池などを整備しておけば、災害後にも生活は可能となるこれがレジリエンス(防災力)の考え方である。
被災後の暮らしの中で生活を続けていくのはサバイバルと言っても過言ではない。常日頃から家族で話し合っておくことが大切だろう。日常できることが、有事の際にはできないことは何か。電気の無い暮らしを体験するのも必要だろう。被害が広範囲なら物資も救援も日数が掛かる。備えあれば憂いなし。防災の日に思う。